布袋WORKS

山下久美子「Baby alone」と「ある愛の詩」(布袋寅泰BOOWY時代の参加作品 )ドラム池畑潤二について

投稿日:2015-01-27 更新日:

山下久美子

布袋寅泰プロデュース作品第3弾

山下久美子布袋プロデュース作品3部作第3弾「Baby alone」です。

「1986」「POP」と続きギタリスト布袋寅泰の最高の時期の音が封じ込まれています。

また、パートナーでありながらライバル心を燃やしていたという山下久美子さんのボーカルも、複雑な心境がアーティストとして昇華し、山下久美子さんのソロアルバムでありながら、闘争心をむき出しにするバンドがせめぎ合うようなシャープな緊張感が感じられます。

BOOWYは4人のバンドとは言え氷室さんが作ったバンドであること、地元で布袋さんは後輩という関係からスタートしているので、多少の遠慮はあったと思われる。

そのような関係性が良い意味で反応を起こしBOOWYが出来上がったと思うのですが、この山下久美子さんの布袋プロデユース3作目「Baby alone」は、布袋さんのキャリアも上がり予算の制約などもほぼ無いと思われますし、当時布袋さんがやりたかったことを全く妥協せずに形にした作品であるのではないかと思われます。

私は前作「POP」が山下久美子版のビートエモーションという認識で本作は「サイコパス」かなと解釈していましたが、サイコパスよりストレートな楽曲が並びます。

3部作はすべて何度聴いたかわからないぐらい夢中で聴いたアルバムで、どれが一番と決めにくいのですが、私フカジは山下久美子さんのソロ、その他の布袋さんの他アーティストプロデュースアルバム含めてこの「Baby alone」が一番好きですね。
※BOOWYやGUITARHYTHMシリーズを入れると1週間ぐらい悩みそうですが(笑)

ドラムは元ROOSTERSの池畑潤二

これまでドラムはまこっちゃん、シナロケ川島さん、山木秀夫さんときて、今作は池畑潤二さんです

池畑潤二さんはこのアルバム以降、山下久美子作品への参加、COMPLEXへの参加など布袋さんとのつながりが深くなっていきます。また、松井さんのソロアルバム「SONG OF JOY」ではほぼ共作といわれるまで深い付き合いとなっています。

SONG OF JOY

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池畑潤二さんはROOSTERSからミュージシャンとしてのキャリアがスタートしています。

ボーカルの大江慎也さんとは北九州の中学校で出会い、前々身バンド「薔薇族」前身バンド「人間クラブ」とともに歩んでおり、深い絆で結ばれていたことと思われます。
大江慎也さんは、アーティステックで非常に頭脳明晰な方であったようで、そのような大江慎也さんが以下のように池畑さんを表現しており、10代から池畑さんはドラマーとしてだけでなく人間的にも優れていたことが伺えます。

薔薇族について

薔薇族は薔薇族で池畑が技術的にも精神的にも突出した存在になって
大江慎也(2005)「words for a book」,2005年9月, p.60, シンコーミュージック・エンタテイメント.

激しさと繊細な世界を行き来していた大江さんを、池畑さんが支えていたことは想像に難くないです。

そんな池畑さんのドラムですが、8ビートなのにグイグイ腰に来るドラムで、通常のリズムパターンに池畑クオンタイズともいえる絶妙なノリがかかって独自のグルーブがあります。特にバスドラが非常に気持ちいい。

初期ROOSTERSはカッコイイところ沢山あるんですが、大江さんの掻きむしるギターと並んで池畑さんのドラムがたまらなくカッコイイ。
いつぞやの日刊SPAで池畑さんが強烈に喧嘩が強いみたいなことを書いていたのですが、このドラムの安定感も腕っぷしの強さの表れですね。

こんなグイグイくるロックなドラマーが山下久美子さんの「!BYE BYE」なども叩いてるんですから、とても器用な方であると思います。

「Baby alone」について

■Baby alone
1988年6月21日発売
1. さよなら(ADIOS
2. やさしくしたいの
3. 逢いたい
4. 微笑みのその前で
5. C`est la vie
6. 遠い夜明け
7. HEAVEN
8. 踊り明かしたい
9. LADY JEAN
10. Stop Stop Rock′n RoLL
  • ギター:布袋寅泰
  • ドラムス:池畑潤二
  • ベース:松井恒松
  • キーボード:ホッピー神山
  • プログラミング:松武秀樹
  • レコーディング・ミックス:マイケル・ツィマリング 坂本達也 デビッド・リチャーズ
  • サウンドプロデュース:布袋寅泰

前回「POP」でも引用したプレイヤーでの布袋さんの文も再度引用させていただきます。

最近やりたいなと思うのは,ブロンディとかラモーンズとか2トーン系とかNW初期のパワーポップ方向。 いいバンド沢山いたもんね。 ガシガシ8ビートみたいな感じで押しまくる的な余念が無いやつやりてえ。 決めとかあんまし無くてシンプルなやつ。 そんでいて胸がやたらいたいくらいポップっつうサ。(ここでさっきまで後ろにいた水前寺清子さんが降りた。)
月刊Player 1987年 布袋寅泰 プレイヤーコーポレーション

前作「POP」のレコーディング前布袋さんがプレイヤーの連載の中で書いていた発言ですが、前作「POP」から更に「胸がやたらいたいくらいポップ」を拡大した切なさがぐっとくるアルバムです。

Baby aloneピックアップトラック

1. さよなら(ADIOS)

山下久美子著「ある愛の詩」を読んだあと聴くとさらになんだかグッときます、涙がでそうになる。

イントロのドラムが入った瞬間から池畑さんとわかるグルーブ、メロディックで太いベース、カラフルなキーボード、絶妙なポップ加減で裏返りそうな倍音豊かなギター、さりげない転調に切ないメロディ。
いつまでもフカジが布袋さんに求めているのはこの曲みたいな曲かもしれない。

3. 逢いたい

ホッピー神山さんの流れるようなピアノがやさしく、適度なブルージー加減がスクイーズを思い出すような曲。布袋さんのクリーントーンも固めで気持ちいいい音です。
わがままジュリエットではストリングスで聴けたような、サビのテンションのシーケンスフレーズを奏でるピアノがノスタルジーを誘います。

4. 微笑みのその前で

必殺の1曲です。最高の「胸がいたい」ポップソング。
ポップスのマジックが沢山詰まったコード進行に泣きのメロディと全くムダの無いアレンジ。
この曲のわずか16小節のギターソロには、何分にも及ぶ長いギターソロでも超えられない感情がほとばしっています。
「ますます痛くなったアタシのR&R」

5. C`est la vie

デモテープバージョンを聴いているからということもあり、サビとリフを別々の曲からくっつけたような感覚になりますが、さらっと弾いた中に沢山のフックが詰まっており、イメージがドラマチックに広がる曲。

6. 遠い夜明け

音色が呼び起こす感情は不思議です、この曲もなぜか80年代を思い出す。
松岡英明さんのところでも書いたが、80年代を感じる音に「6th」と「add9」があり、「6th」は筒美京平さん「add9」はタッチで、この曲はタッチを感じるという、とても個人的な感想です(笑)

8. 踊り明かしたい

奇妙だが布袋さんらしいカッティングのリフ、サビではドラムがグイグイきてROOSTERSを思い出してしまいます。浮遊感あるギターソロにロックンロールが絡むNWなアレンジはクセになります。

9. LADY JEAN

英国POPなアレンジで女の子らしい曲、今でこそGUITARHYTHM2あたりに入っていそうと理解できますが、ギターが入っていません。
レコードマニアな布袋さんの間口の広さを知ることができます。

10. Stop Stop Rock′n RoLL

この曲を聴くと「あー終わっちゃうな」って思います。single同様BOOWYから入りやすい曲です、この曲もLilithと同じくイントロのギターのハモリで高揚感を感じます。

このアルバムはBOOWYの解散宣言からLASTGIGSまでの間に作られていたようです。

布袋さんのギターの音を再現するのに人気なのがLAST GIGSとCASE OF BOOWYですが、このアルバムのギターの音もちょうどその頃の気持ち良い音が詰まっています。

山下久美子著「ある愛の詩」と「Baby alone」

山下久美子著「ある愛の詩」のハイライトともいえる時期、第三章「幸福な日差しと憂鬱な影」の前半ページの頃の感情がこの「Baby alone」に刻まれていると思いますが、その後がわかっている現在、このアルバムの内容は二人の行く末を暗示させていたような印象を受けます。

皮肉なもので、複雑な感情が絡まったり、「普通」や「幸せ」とは逆のエネルギーだったりが、アーティストの作品の質を上げていきます。

「ある愛の詩」を読んでいる最中、とくに第三章以降で「Baby alone」の楽曲の数々が私の中で流れていました。もはや私フカジの脳内では「ある愛の詩」のサントラ「Baby alone」です
「Lilith」な時期はほんの短い一瞬だったのでは、と切なくなってきます。

BOOWYや布袋さんのファンはすでに今まで紹介したアルバムなども聴いていると思いますが、若いファンで布袋さんのソロとかしか知らない方は、この「Baby alone」だけは食事を一回抜いてでも聴いてください。

アマゾンなどでは1000円ぐらいで買えるのではないでしょうか、もしTSUTAYAにあったら借りてでもよいです。

そしてさらに「ある愛の詩」を合わせて読むと、相乗効果でそれはそれはグッときます。

「ある愛の詩」を読み終わったあと、この「REINCARNATION」の映像を是非見て欲しい。

アルバム「1986」に入っている「REINCARNATION」は布袋寅泰作詞作曲です。曲だけではなく作詞も布袋さんです。

輪廻転生という壮大なテーマをパーソナルな恋愛に落とし込んだ曲ですが、山下久美子布袋プロデュース3部作のスタートとなる1曲目。
恋愛初期の布袋さんとの思い出が強烈に詰まっていると思われる曲を、2000年のライブで演奏しています。
1997年に離婚ですから、気持ちの整理がついたころかなと思います。

サビで布袋さんのコーラスが聞こえてきそうだけど、、、聞こえない。
山下久美子さんの耳の奥では、はっきりとあの日の布袋さんのコーラスが聞こえているはずです。

女性の強さ、涙腺が刺激されます。

以前1984〜1987年にかけて雑誌PLAYERでの布袋さんの連載で、読者からきた質問への回答の引用です。

 

ーーーNo.13。 不忍池。 泣き虫Mちゃん。(ペンネーム) 
2年も付き合っていた彼が突然結婚してしまいました。 裏切られたっていう気持ちが鎮まらず半年も前の事なのに涙が出てきます。 愛する気持ちってそんなにかんたんに失くしたり生まれたりするものなの? 男の人としての意見を聞かせて下さい。

(布袋さんの回答)
 …はっきり言って男は勝手だと思います。 僕自身そういう部分あるし、同時に2人好きになっちゃったり。 でも偉そうな事言わせてもらえば、人と人と、男と女の出合いって必然的な何かがあるって信じてます。 1986のREINCARNATIONの歌詞にはそんな想いが込められてます。 Mちゃんがこの先誰かとめぐり逢えて幸福になった時、このつらい気持ちは逆の方に行くと思う。 別れも出逢いの為のものだって信じなきゃ、誰もが暗くて重い過去を持った淋しい人になっちゃうじゃない? 僕自身かなりいいかげんな所自分で知ってるので、そんな事しか言えないヤ。 ゴメンね。
引用:月刊Player 布袋寅泰 1987年〜質問にお答えしますvol 2。〜プレイヤーコーポレーション

布袋さんの著書「秘密」に書かれていますが、山下久美子さんとの出会いの前に布袋さんはとても強烈な別れを経験しているようです。

「男は勝手だと思います。」という部分は布袋さんの優しさで、「人と人と、男と女の出合いって必然的な何かがあるって信じてます。 」の部分がこの回答の本質だと思います。

この質問へ回答をした頃は、酷い別れを経験したあと山下久美子さんと出会い、一番幸せな時期。

回答の内容は今でこそ、その後を思い起こさせられますが、当時は質問を受け自分の事を考えながら、布袋さんの優しさが滲み出るとても親身になった回答だと思います。

「Baby alone」の頃の山下久美子インタビュー

「Baby alone」の頃の山下久美子さんのインタビューがでてきました。
布袋さんと生活を共にしていた時期なので、布袋さんのフェイバリットと被ります。
布袋さんからの音楽の影響は大きく、出会うまではピストルズも聴いたことがなかったと、ラジオ、ミュージック・スクエアでは話していた記憶があります。

ーーー生まれて初めて自分で買ったレコードは?
モンキーズor ウエストサイドストーリー
ーーー音楽に目覚めたこの一曲といえば?
特にあげられません
ーーー自分に影響を与えたと思われる人物を3人挙げてください。
特にないけど強いて言えばマリリン・モンロー

■山下久美子フェバリットアルバムベスト10

あなたのフェバリットアルバムベスト10を挙げてください、またそれについての寸評もお願いします
※以下それぞれAmazonの商品ページへリンクされています。

1パティ・スミス ドリームオブライフ

2ラモーンズ ロケットトゥロシア

3テレビジョン マーキー・ムーン

4ドアーズ まぼろしの世界

5ピストルズ 勝手にしやがれ

6エルビスコステロ マイエイムイズトゥルー

7ベルベットアンダーグラウンド 1st

8ザ・フー 四重人格

9プリンス ラブセクシー

10 ドッドラングレン 魔法使いは真実のスター

〜山下久美子 1989年「CDデータ」角川書店 Oh!マイフェバリットALBUM BEST10【ミュージシャン編】〜

最後までお読みくださいましてありがとうございます。
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山下久美子 布袋寅泰の出会い「BLONDE」の記事は→こちら

前々作「1986」の記事は→こちら

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※布袋寅泰関連のエフェクター、参考にしてください
⇒BOOWY時代の布袋寅泰使用機材




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