ビートボクサーやボーカリストなど両手が自由に使える演奏者をターゲットに操作設計されているRC-505、ギターしか弾けない私は、素直にRC-300を買えば良かったと後悔していた。そんなところになんとRC-505が2.0へバージョンアップすると発表されていた。
※追記:2016年6月に大幅にバージョンアップされ、かなりギタリストの使い勝手が向上しています
バージョンアップは現在のハードそのままソフトを書き換えるのであれば、現RC-505の所有者は嬉しい。
この記事を書いている時点(2016年4月10日)では現在のユーザーがバージョンアップできるのか、バージョンアップの大枠が確認できる以外詳細不明。
旧バージョンのRC-505で私が使いにくかった点を書きます。ルーパーを購入検討されている方、参考にしてください。
追記:その後BOSSのルーパーいろいろ購入しています、私が気がついた使い方など書いています、よろしければみてください。
BOSS RC-505 公式ページ
BOSS RC-505 | Loop Station
RC-505 Loop Station は、世界中のビートボクサーやシンガー、クラブ系アーティストなどのループ・パフォーマーにとって最高のツールです。
最前線で活躍しているミュージシャン達のリクエストを元にバージョン2.0 へとアップデートしたフラッグ・シップのテーブルトップ・ルーパーは、さらに創造力をかき立てる究極のツールへと進化します。
INPUT/TRACK FX はそれぞれ同時複数使用できるようになり、新規エフェクトも追加されて います。フットスイッチからコントロールできる機能も大幅に拡張され、手元での操作に制限があったギタリストやキーボーディストなど様々な楽器によるパフォーマンスにも十分に対応できるようになりました。
BOSS RC-505 Loop Station
私フカジが20年ほど酒に溺れ音楽から遠ざかっていた間に、ルーパーという、以前では考えられないエフェクターが出現していた。
ルーパーとはディレイから発展しているようで、ディレイを使用したサウンドオンサウンドが元になっているようだ。
ルーパー以前のエフェクターでは、前回このブログで記事にしたBOSS PS-2の最長2秒までのディレイタイム設定で、一人ハモリギターなどができ(かなりの難易度だが、、)、またDD-3にはループ機能がついていたので、短いフレーズをシーケンスさせルーパーのような使い方をするギタリストも、いるにはいた。
トリッキーな発振が快感のBOSS PS-2 | ガーってやればいいんだよ
ディレイから発展したBOSSのLoop Stationシリーズは、1トラックのRC-1から3トラックのフットペダルRC-300、さらにテーブルトップのRC-505まで使用用途によりラインアップがあり、トラック数の多い機種は一人でかなりのパターンのフレーズを重ねパフォーマンスが可能。
ライブパフォーマンスMTRという感じの印象を受け、バンドをやる時間はなかなかとれないけど、ルーパーがあれば一人で結構なパフォーマンスができるのではと購入を考えた。
ギターしか弾けないギタリストがRC-505を購入する
私フカジは、人様にお聴かせできる楽器はかろうじてギターだけだ。
20年前に宅録やデモテープ作成で軽くルートのベースを弾いたり、シーケンサーでの打ち込みものめり込んだ時期はあったが、鍵盤は片手単音しか弾けない。さらに歌は下手。
しかも酒に溺れて15年ほどほぼギターに触っていなかったため、元々不安定だったリズム感も全くダメになっていた。
そんな40歳をすぎた男がルーパーに手をだした。
RC-505の使い方、どう使う?
私フカジはルーパーをバッキングマシンに加え、新たなグルーブを生み出すリズムマシン的な捉え方をしている。
リズムとはかっちりとしていなくとも、前のりだろうが後のりだろうが、スネアが少し突っ込んでいようが、バスドラがモタっていようが、ずっと1曲を通して一定にキープされていればグルーブになる。
逆に1小節目が全体的前のり、2小節目がバスドラだけモタみたいなヨレヨレな感じだと、リズム感がないというか下手ということになる。
リズムは一定にキープすることが難しく才能や訓練が必要になる。
ところが、ルーパーを使えば短い小節をどうにか録音しループさせれば、限度はあるがリズムキープできない演奏家のリズムでもグルーブになるのだ。
これは、演奏が苦手な作曲家でもレコーディングができるようになったシーケンサーや打ち込みと同じく画期的な発明だ。
以下ローランド株式会社の創業者である梯 郁太郎氏が著書「サンプルのない時代〜ライフワークは音楽」でMIDIの打ち込み音楽(梯氏は著書でノンリアルタイムと表現)について書かれている箇所の引用だ。
梯氏の考えはローランドの楽器すべての根底にあると思いますし「ルーパー」を最初にBOSSが開発したというのもうなずける。
ルーパーはある程度演奏技術を必要とし、最終的にどんな曲にするか構成を練っていないと無茶苦茶になるが、途方も無い時間を要するリズム訓練を補ってしまうという画期的な機材です。
以下の引用の「リアルタイム」を「鍛えぬかれたリズム感」、「ノンリアルタイム」という単語を「ルーパーで創り出したグルーブ」と置き換えて読むとルーパーの可能性が広がってくるように感じませんか?
1 リアルタイムは演奏家、ノンリアルタイムは作曲家
リアルタイムとノンリアルタイム、どちらで作られた音楽もいったんCD、MD、テープなどの媒体を通じて聴く時には其の差はない。
最近はプログラミング技術が非常に進歩したおかげで素晴らしい演奏を聴くことができるようになってきた。
プログラミング技術も当初はカラオケ用のアレンジを行う人の需要が多かったが、次第に作曲をする人たちもコンピュータを使って独自の作品を作るようになってきた。そういう人たちは次々と他の分野に目を向け、今ではオペラの楽譜をDTMPで作り出す人も現れてきた。
〜〜中略〜〜
演奏をリアルタイムで行うためには大変な修練が必要になる。
幼児期からの特訓を経て本当に感覚を体に覚え込ませて曲想がそのまま指先の動きに連動していなければ、演奏はできても音楽表現は難しい。
その辺のハードルが非常に高く、演奏技術、音楽性を同時に満たすことは誰にでもできることではない。
〜〜中略〜〜
体で覚えるフィジカルなトレーニングであれ、音楽を楽しむブレインのトレーニングであれどちらの方法も最後の音楽を作り上げる部分では人間の全く同じ部分(感性)が必要になってくる。
途中のプロセスが違うだけで結果的には同じである。
むしろノンリアルタイムの方法によって肉体的な不自由、思うように動かない指などの制約からもっと開放された新しい分野が拓けるのではないかと考えている、成人した後で音楽に興味を持った人にとっては素晴らしい入り口である。
引用:梯 郁太郎 「サンプルのない時代〜ライフワークは音楽」第8章 MIDIの誕生 1 リアルタイムは演奏家、ノンリアルタイムは作曲家 2014年6月1日, p.135~136, 音楽之友社.
BOSSのRCシリーズや他社をあれこれ悩んだ挙句以下の点からRC-505を選択し、レビューや動画などで判断しギタリストの欲求を知り尽くしているBOSSなら安心と実機を試さず購入した。
ギターしか弾けない私がRC-300でなくRC-505を購入した理由
- 以前マルチエフェクターで使用していたFC-200(上画像)やFS-5U、EV-5が眠っている
- 90年代テクノにハマったことから、ブレイクビーツや抜き差しの快感を再現したかった
- どうせ買うなら、トラック数が多いほうがいいでしょ!
そして手元にRC-505が届いて1週間もしないうちに気がついた。
ギタリストなら素直にRC-300にしておけばよかった
機能や音質には大満足だが、両手が塞がっているギタリストはRC-505の素晴らしい機能を十分に操りにくいのだ。
「だからRC-300用意してるでしょ?」とBOSSのRC-505の開発者からの声が聞こえてきそうだった…
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RC-505をギタリストが使うには設置スペースが必要
MIDIフットコントローラーは必須
いくつかレビューなどを見ると、FS6などフットスイッチがあればギタリストでもどうにかなりそうな気がしてくる。
すぐに用意できるのは、EV-5,FS5UやFS6など下の画像ぐらいだと思うが、これだけでは足のみで操作するには確実に足りない。
RC-505の高機能を、両手がふさがっているプレイヤーがある程度足で操作するにはコントロールチェンジのできるMIDIフットコントローラーが必須だ、それを並べるとこのようになる。
すごい大掛かりなセット(笑)、、FC-200だけでRC-300以上あるんじゃないか?
これに、自分の好みのエフェクターなどをプラスすると足元がすごいことになる。
私は元々Roland FC-200を持っていたのでよいが、持っていないギタリストがMIDIフットコントローラーを用意すると、現行機種はFC-300となり3万円以上する。
コントロール・チェンジ機能が充実しているMIDIフットコントローラーはあまり競合機種がないからか、プロの足元にもよく見るFC-200は、いまだにヤフオクなどでも人気で1万円以上で落札されている。
ビートボクサーやボーカリストならRC-505にマイク1本用意すればよいが、ギタリストがRC-505をスマートに操作しようとするなら、本体価格プラス数万円の出費が必要となる。
※BOSS FC−50やROLAND GFC-50は本体ではプログラムチェンジのみ、コントロールチェンジは別にスイッチを用意しなければいけないので注意。
ひょっとしたら、RC-300なら3トラックしかなくて、もっとシンプルにいけたのでは、と、大掛かりな足元を見ながら考えてしまう。
ギタリストには致命的だったターゲットトラックの変更
RC-505では5つのループトラックがあり、録音するトラックは本体の大きな丸いボタンをポンっと一度押すと瞬時に切り替わる。
これはビートボクサーやボーカリストなど両手が自由な演奏者にはとても使いやすい操作設計だが、ギターしか弾けない私には致命的だった。
ボタンをひとつポンと押してトラックを変更する操作がフットコントローラーではできない。
フットコントローラー操作で録音する場合、まずターゲットトラック(ループを録音するトラック)を変更してからフットコントローラーで録音や停止を操作する。
ターゲットトラックの変更はMIDIフットコントローラーやフットスイッチではできず、本体での両手操作を必要とする。
ターゲットトラックの変更は以下の画像のピンクの四角の「EXIT」ボタンを長押ししながら、黄色四角の各トラックの「EDIT」ボタンを押して変更される。
2つのボタンを押す操作も、「EXIT」の真下のトラック4の「EDIT」ボタンなら片手でいけるが、トラック3より左は両手操作が必須だ。
このターゲットトラックの変更は、説明書にも小さく記載されているだけだが、両手が塞がっているギタリストにとって、両手でのボタン操作は致命的で、ギターをぶら下げたままだと不安定になり、RC-505を置いた台にギターをぶつけてしまう。
せめて、「EXIT」ボタンだけでもMIDIでアサインできたらと願っていた。そうなれば「EXIT」を足で踏みながら片手でターゲットトラックを変更できる。もう片方の手でぶら下げたギターを安定させることができる。
そして欲をいえば、ターゲットトラック変更をそれぞれ5つ、MIDIアサインできるようにして欲しい。
※ひょっとしたら、説明書の読み込み不足で、もっと使いやすい方法を私が気がついていないだけかもしれません、間違っている場合はご容赦ください。
アンプモデリング「COSM」を搭載して欲しかった
RC-300にも搭載されていないようだが、RC-505にRoland CUBE Liteのモデリングほどでも簡易的に搭載されていればよりシンプルな足元のセッティングができたと思う。
ディレイなど他のエフェクターは搭載のもので高クオリティ、非常に満足している。
RC-505のバージョンアップで期待している機能
足元にMIDIフットコントローラーが並び大げさなセッテイングになるのは購入前からわかっていた、今回のバージョン2.0では、以下のひとつが変更されていて欲しい。
・ターゲットトラックをMIDIフットコントローラーで変更できるようにして欲しい!
あと、できればいつかアンプモデリング「COSM」も搭載されていれば、なお嬉しいですが(笑)
よろしくお願いします。
今回のバージョンアップが旧RC-505所有者にも適用されるのであればは、以前購入したもののRC-300などに買い直そうかなど迷っていたギタリストにはかなり嬉しいお知らせではないでしょうか。
バージョンアップが開始されるのが楽しみです!
…旧RC-505に適用されなければ、その時はまた考えます。
■高機能5トラックルーパー RC-505
■ギタリスト向け フラグシップモデル RC-300
最後までお読みくださいましてありがとうございました。