ルックスに惹かれたT.REX
以前記事にしたBOOWYの頃の布袋寅泰のギタープレイの基礎となったアルバムでBOOWYの頃までによくコピーしたアルバムで布袋さんが一番最初にあげていたのがT.REX「BEST」です。
布袋さんは中学2年生のころ偶然見かけたマーク・ボランのポスターからギタリストへの道が始まったと数々のインタビューで答えていますがサウンド面では、以下のような発言です。
俺、Tレックスの音楽なんてあんまり好きじゃないんですよ、ベスト盤が一番好きだなんて思っているぐらいでさ
当時はマーク・ボランやミック・ロンソンにレイ・パーカーJr(※1)が合わさったようなギタリストになりたいと思っていた
マーク・ボランやミック・ロンソンはイマイチキレが悪いじゃない、なのでレイ・パーカーJrのキレの良さが加わったら最高だなと
〜PATIPATI ROCK'N'ROLL 1995年3月号 Sony Magazines
布袋さんがこんな感じでインタビューで発言していたのであまり私も熱心にTREXは聴きこんでいないのですが、手元にBESTとスライダーがあり、マークボランのギタープレイと布袋さんのギタープレイの共通点などあらためて考えてみました。
マークボランと布袋寅泰のギタープレイの共通点
アルバムMORALではグラムをテンポアップしたようなバッキングが随所で聴けます。(そもそもパンクがグラムを高速にしたような感じなのですが)
MORALの頃はツインギターだったので、一人が5度コード(パワーコード)を刻んで、一人が高音弦でアクセントをつけるようなアンサンブルです、その後布袋さんだけになり、この2つのバッキングを一人ですることになります。
それが、布袋さんの8ビート曲でよく耳にするバッキングである、親指で低音弦を押え、高音弦を人差し指、中指で押え別々アクセントを付けカッティングする奏法(ONLY YOUのBメロなど)になっています。
これひらめいたのでしょうか?チョッパーベースの話でドラムが練習を休んだから、苦肉の策でチョッパーベースが編み出されたとかいう話みたいですが、ギター一人で音の厚みを出すために一人二役やっちゃった!みたいな感じですかね。
このバッキングはスコアをみて、人差し指で6弦全部セーハすると低音弦と高音弦の音を別々に切ることができないのでうまく弾けないんです。
低音弦はブリッジミュートしてるから音は切れてるのですが、高音弦のキレが悪くなる。
ギター弾き始めのころは親指で5、6弦を押さえてると知らないもので、例えば「ズーズズズジャズズジャズズジャー」ていう2小節があったとしたら、ジャのとこがジャーーーとしてキレずに間延びして途方にくれていました。
ハイテンポな曲のバッキングにパンクでは5度コードで、ガガガガって刻むだけのところを、布袋さんは5度コードに交え鋭い高音弦のアクセントを入れるところがマークボランからの影響かと考えられます。
あとはロックンロールを元としたリフで組みた立てる曲。久しぶりにT.REXを聴くとマークボランのリフに私が20年前は気がつくことができなかったキッチュさを感じました、BOOWY時代の布袋さんのフレーズには同じキッチュな感覚が時折見え隠れするところが、いま考えれば夢中になったひとつでは無いかと思います。
どの曲がどうって特定が難しいので分かりにくいですが、布袋さんは何度も何度も聴いてコピーしていると思うので血となり肉となり体に染み付いている感じなのでしょう。
布袋さんも弾きたくなるような、コピーしたくなるようなギターフレーズを作ると何かで話していましたが、マーク・ボランのギターも弾いて楽しいギターです。子供の頃の〜ゴッコ遊びではないですが、スタジオでEをかき鳴らしながらオフマイクで叫べば「20th Century Boy」な気分をすぐに味わえます。
BOOWYではNo New Yorkの間奏なんて、EとAが押えられなくてもなんとなく弾けてしまい、ギターへのモチベーションが上がります。
ひとつ気になった曲があり、手元にあるBESTに「Celebrate Summer」という曲が入っているのですが、遺作の「地下室のダンディー」収録の曲で77年発表。
ダムドみたいなベースに轟音を予感させるアグレッシブなギター、マーク・ボランも他界しなければパンク、NWに切り込んで別な角度の作品がでていたかもしれない。
グラムロック以後大爆発するパンクの元になったことがBESTに入っている曲からでもよく分かり、グラムロックからピストルズへ向かう布袋さんの流れの元にマークボランがいることを再確認しました。
(※1)レイ・パーカーJr「ゴーストバスターズ」のテーマ曲で有名なギタリスト、布袋さんはハービー・ハンコック作品に参加したシークレッツをフェイバリットとして上げている。クールでパーカッシブなカッティングは布袋さんのグルーブを知る上で必聴
最後までお読み下さりありがとうございます。
※布袋寅泰関連のエフェクター、参考にしてください
⇒BOOWY時代の布袋寅泰使用機材
→BOOWY時代の布袋寅泰のギタープレイに迫る!XTC編
→山下久美子 「Baby alone」布袋寅泰BOOWY時代の参加作品
→布袋寅泰のギタープレイ 空間をねじ曲げるリフについて検証…
→山下久美子 1986 (布袋寅泰BOOWY時代の参加作品 )