画像:ギターマガジン 1990年01月号 リットーミュージック社
PERSONZと本田毅
エフェクターの鬼というイメージ、そしてJC160
大御所人気バンドPERSONZの音のイメージを決定づけていたギタリスト(現在はサポート)。
私フカジのイメージでは布袋さんはJCを使っていたがJCの音!っていう感じがそこまで強くないが本田さんはとてもJCの音っていうイメージがある。布袋さんとは生まれ年は違うが学年的には同じのようだ。
1984年、PERSONZがNOTHING PERSONALからPERSONZにバンド名がかわった頃、布袋さんは本田さんのことをこう書いています。
次に、パーソンズっていうバンドの本田タケシ君。 彼の繊細なギターワークも目を見張るものがある。 幅広いコードプレイ、トリッキーなソロワーク。 シャープな切れがいまいちなんだけど、伸び伸びとしたプレイは近いうちに注目されると思う。
PLAYER 1984年〜最近気になるギタリスト+バンド、etc. つれづれなるままに・・・・・・。〜
本田さんは布袋さんが怪我をした時に替わりに演奏し、BOOWYのサポートを体験した唯一のミュージシャンである。
布袋さんとはギタリストとしての系統は似ているが布袋さんよりさらにエフェクターを多用しており、あの音を完全に再現するには何台ものラックを必要とするため、コピーするのに非常にお金がかかるのである。
まぁ、普通にコピーするだけなら、歪みとディレイとコーラスとピッチ・シフター(まるでBOOWYのギター)があればどうにかなるが、曲ごとに細かいディレイタイムなど設定しており、ライブで2曲立て続けに演奏する場合などは、コンパクトだと、いちいちしゃがんでディレイタイムを設定し直さなければいけないので、最低でもディレイタイムのパッチ切り替えができるラックは必要になる。
今でこそ、安価でそんなプログラムできるディレイもあるが、今から20年以上前、そのような多機能ディレイは高価だった。
本田さんの逆の道を行きヒットしたのがジュンスカの森純太さん、ギブソンでなくても、グレコのレスポールでもあれば、借り物のアンプでどうにかなるというリーズナブルさで、BOOWYのコピーバンドと同じぐらいの数のジュンスカコピーバンドが日本全国に発生したと思われる。
でも森純太さんも、ブルーハーツ(だったかな?)を観るまではエフェクターをバリバリにかけていたらしく、BAD MORNINGとかをディレイ全開のアレンジだったらしい。
森純太の男気!アンプ直!というのもジュンスカの売りの一つだったので、バリバリエフェクターがかかっているジュンスカもそのままでも売れたと思うが、あのよく聴くとひねったコード進行だけどストレートな楽曲にアンプ直の選択は、森さんが時代に呼ばれた選択だったのだろう。
話がジュンスカになってしまったが、本田さんの計算されたエフェクターの使い方がわかるインタビューを一つ引用します
DREAMERS ONLY 2曲目「Dreamers」の本人解説
これなんか単音イントロの曲なんだけどね(笑)これは一番パーソンズらしい曲だね。
ミソは2分のディレイの使いかただね。
2分のディレイの使い方って難しくて、特に速い曲で使うと間延びしちゃうからそこは上手くフレーズを考えて使わないと。この曲はヒラ歌中のハーモニクスを左右に振っているのが2分ディレイ。
間奏はテーマ部と同じようなメロディなんだけど転調していて。
2分のディレイがかかっているからそのディレイ分を計算してフレージングしてある。ディレイ音に合わせて弾くと見事にハモるわけですよ。参照:ギターマガジン 1990 1月号 P35 リットーミュージック
2分音符のディレイで組み立てられたフレーズなんて、安定したリズム隊のバンドでないかぎりボワンボワンになってしまい、不安定なバンドでは弾いている方は気持ち良いかもしれないが聴いてる方はなんだかよくわからない輪唱になってしまう。
このあたりもPERSONZでしかできない演奏だ。「神は細部に宿る」ではないが、計算しつくされている。アマチュアコピーバンドには敷居が高い。
そして、本田さんへのエフェクターについてのインタビューも引用します
ーーー話は変わるけど、もうエフェクターなしの素のままっていうのはできない?
なんていうのかな、それがなくてもできると思うんだ。良いギターと良いアンプがあれば。
でも、まず俺が最初にやった時、良いギターと良いアンプでやれなくて、マーシャルとかそういうものに当たらなかったの。
最初からあまり歪まないアンプだったの。で、ジャズ・コーラスを使ったら歪は好きじゃないけどクリーンは凄え良い音だなって、そこから入っちゃったんだよね。
で、それを一つウリにしょうと思って。それとハーフトーンの組み合わせにしたんだ。
それで良い音にセッティングしていくようにして、歪む時はオーバードライブ使ってって感じで、どんどんエフェクターを増やしていったから。
良いギターといいアンプを使ってそういうものもやってみたいけどね。ーーープリミティブにソロなんかも考えこまないでやってる姿も見たい気がするんだけど
遅かったんだけどNYのライブハウスでジミヘンみたいなのをやっているのを見たんだよね。
もう歪みっぱなしなんだけど、手元のボリュームで調整してソロやカッティングをやっててそれがずっと連結してるの。
俺なんかいつも場面変えることばっかり考えていたんだけど。
そいつはずっと連結した同じトーンでやっているんだ。ゆっくりゆっくり変わっていくのね。
これはカッコイイわと思った。
俺はパキッパキッと変えることばっかり思ってたんだけどフィルムとビデオの違いというか、観るのが遅かったんだ。
参照:ギターマガジン 1990 1月号 P33 リットーミュージック
ジュンスカの森さんはアンプ直を選択して世に出て、本田さんはエフェクター全開の音で世に出た、共にとても才能のあるギタリストなのでどの道を選択してもヒットを飛ばしていただろうが、ひょっとしたら、その道を選択していなかったら、、どうなっていたかわからない
1990年4thアルバム『DREAMERS ONLY』頃の機材
※下線付きの機材名はヤフオクへリンクされていますので、現在の相場が確認できます。
メインギター
・シェクタージャパン ST−JP215
・シェクター テレキャスタータイプ
エフェクター
・ティアック パワーディストリィビューター AVP25
・デジテック ピッチシフター IPS33
・デジテック デジタルシグナルプロセッサー DSP128
・ローランド GP16
・ヤマハ SPX900
・BOSS デジタルピッチシフターディレイ RPS10 2台
・BOSS デジタルコーラス RCE10
・ロックトロン スイッチングシステム RSB18R
・ロックトロン スイッチングシステム RSB18F
・ローランド ボリューム・ペダル VF50
・プロコ RAT
・MAXON SUPER METAL
・BOSS SD1
・グヤトーン PS032
アンプ
・Roland JC160 2台
BOOWY時代の布袋寅泰使用アンプ、ローランドジャズコーラスの歴史を振り返る | ガーってやればいいんだよ Rocks in my head参照:ギターマガジン 1990 1月号 P34 リットーミュージック
パーソンズの頃の本田さんといえばMAXON SUPER METALというイメージです。
1990年当時10万円以上したGP16なんて、今FC-100 MKⅡとセットで1万円以下で落札できる時代がきました。
20年前はとても手が出なかった本田さんのラックを埋め尽くしているエフェクターもいまなら揃えられるかもしれません。
でも、BOSSのGT100が1台あれば、ことたりるかもしれませんが。
今回紹介した1990年1月号のギター・マガジンはamazonに売っていませんでしたが、別のギター・マガジンには「特集2 本田毅のディレイ・トラップ・マニュアル」として本田さんのプレイが特集されています。
そして、このPERSONZのBOOWYカバーアルバムの価格もえらいことになっています(笑)
最後までお読みくださりありがとうございました。