エアロスミスは仲間はずれ
以前記事にしたBOOWYの頃の布袋寅泰のギタープレイの基礎となったアルバムでBOOWYの頃までによくコピーしたアルバムで布袋さんがあげていたエアロスミス『闇夜のヘヴィ・ロック』(Toys In The Attic)です。
もう一度この布袋さんがよくコピーした10枚を振り返ってみます。
- T.REX 「GREAT HITS」
- D.BOWIE 「ZIGGY STARDUST」 「STATION TO STATION」
- MOTT THE HOOPLE 「BEST」
- ROXY MUSIC 「1st」
- SEX PISTOLS 「NEVER MIND THE BOLLOCKS」
- BILL NELSON'S 「RED NOISE」
- AEROSMITH 「TOYS IN THE ATTIC」
- XTC 「BLACK SEA」
- SQUEEZE 「ARGY BARGY」
出典:〜気合いの入った変態を目指そう!〜月刊Player 1987年 布袋寅泰 プレイヤーコーポレーション〜
さあ、仲間はずれはどれでしょう?というようなクイズをだしたら、選ぶとすればこのエアロスミスではないでしょうか。
布袋さんは高校生のころエアロスミスを直に体験していると、著書「秘密」の中で書いています。またこの時に布袋さんに多大な影響を与えたという小林径氏に出会っています。
※このライブには松井常松さんもいっていたようで、ともに衝撃をうけたと書いていました。
音がでかくてビックリしました。それから後のことはほとんど覚えていません。あまりの衝撃に無我夢中だったのだと思います。そしてその後1週間ぐらい夢うつつでした。
引用:松井常松 ~プロの初体験アンケート〜初めて見に行ったライブは誰のライブですか? ベースマガジン 2001年2月号 P42 リットーミュージック
布袋さんの少年時代、まだ高校生ぐらいで音楽性など決まっていなかった時期から、エアロスミスのことを布袋さんは好きだったと今では著作などでわかるのですが、BOOWYの頃はあまり繋がりが見えませんでした。
布袋さんとの繋がりがあまりみえなかったので私は熱心にエアロスミスは聴きこんでいませんが、以前のぴあ「布袋寅泰のRadio Pleasure Box」では「飛べエアロスミス」をあげていました。
Sweet emotionとBEAT EMOTION
『闇夜のヘヴィ・ロック』(Toys In The Attic)はエアロスミスの3作目のアルバムでヒットを記録したようです。
ぱっと聴くと思い出すのはZIGGYだったり、レッド・ウォーリアーズだったりガンズだったりですが、ザクザクしたリフが布袋さんに影響を与えているような気がしてきます。
このアルバムのポイントは「Walk this way」が入っていることでしょう。その後のエアロスミスの復活のきっかけにもなる曲で75年の作品が10年以上時代を先取りしていたことになります。
「Walk this way」のハネ気味のリフはDANCE CRAZEのリフのタイム感に共通するものを感じます。
余談になりますが、この「Walk this way」の最初の邦題が「お説教」とは、ビートルズの「こいつ」やコステロの「コステロ音頭」と並んでどんな経緯でOKがでたのか、当時の企画会議を覗いてみたいです(笑)
そして、このアルバムには「Sweet emotion」が入っています。布袋さんのシングル「BEAT EMOTION」のサビはこの曲からインスパイアされていることは明らかです。
前述の10枚のなかでの「仲間はずれ」に繋がるのですが、1990年、COMPLEXが活動休止になり、もう一度ソロとして立ち上がるとき布袋さんは様々なことを考えて、過去と決別しようとしたのではないかと思います。
「Ⅱ」の時、それまでのブリテッシュなイメージの布袋さんから、新しい布袋寅泰になるにあたり、自分の中にある音楽を洗い出し、これまでのキャリアにない自分のルーツミュージックが前述10枚の中での仲間はずれのアルバム、アメリカンなエアロスミスだった。
私フカジが知らないだけで、どこかにすでにインタビューなどで書いてあるのかもしれませんが、意識してか無意識か「Sweet emotion」のメロディが、新しい自分になると決意した布袋さんのフィルターを通して「BEAT EMOTION」ができたのではないでしょうか。
BOOWYではあまり見えないエアロスミスからの影響ですが、その後ソロになって、特にⅡ以降でのギタープレイにアメリカンな臭いやブルースを私は感じます。
最後までお読みくださいましてありがとうございます。
※布袋寅泰関連のエフェクター、参考にしてください
⇒BOOWY時代の布袋寅泰使用機材
→BOOWY時代の布袋寅泰のギタープレイに迫る!XTC編
→山下久美子 「Baby alone」布袋寅泰BOOWY時代の参加作品
→布袋寅泰のギタープレイ 空間をねじ曲げるリフについて検証…
→山下久美子 1986 (布袋寅泰BOOWY時代の参加作品 )