増田聡准教授の課題「完全な『パクリ』レポート」を作成せよ
先日このようなニュースがキュレーションアプリに上がってきた。
課題「完全な『パクリ』レポート」を作成せよのルール
- 『佐村河内事件に思う』という題名を付し、この題名に即した内容のレポートを作成せよ
- 完全な『パクリ』レポートとして作成せよ
- ネット上や書籍に存在する既存の文章を組み合わせ、10カ所以上の異なる出典を明記せよ
- 自分で独自に執筆した文章を一字一句たりとも交えてはならない
この課題を出したのは大阪市大の増田聡准教授という方で増田准教授は2009年からこのような講義を行っていたようだ。
「自分で独自に執筆した文章を一字一句たりとも交えてはならない」これは難しい(笑)
サンプリングで凄い人は使わなくても凄い
今40代であるフカジが学生のころは、まさか世界中のあらゆる知識へと繋がるコンピュータがポケットに入るようになり、しかも無線でつながるなんて想像もしなかった。
知識は人間の頭に蓄積されている。そして、それ以上の知識は本を引っ張りだし、辞書を引くなどの手間がかかったので、人間の頭の中に沢山知識が入っている人がもてはやされた。
しかし今は違う。人間の記憶のどこかにあるものより、ネットワークを通じてでも、いかに早く引っ張り出し、編集する能力が必要とされる。
引っ張りだすだけなら簡単なのだが、それを編集して他人が納得したり、うなるものを作るのは非常に難しい。結局知識がいるのだ。
今も昔も変わらないのは、何かを作るということはその人がインプットしたものを、その人のフイルターをとおして組み合わして吐き出し、それがオリジナルになる。
まれに完全なオリジナルな人もいるかも知れないが、もはやそのような人が作る作品は早すぎて、はるか昔のように死後認められるというような感じで、同時代の普通の人には受け入れられないのではないかと思う。
極端に言えばロックなんて、パクリの文化である
フカジのパクリに対する考え方は、以下XTCに影響を受けた布袋さんの記事で書いたが、元ネタ本人から訴えられれば別だが、カッコよければそれでいいじゃないという考え方だ。
ちょっと乱暴に言えばロックとはエレキギターの歴史であり、出せる音は限られてる。どこかの誰かがカッコイイリフができた!と興奮したところで多分、もうすでに別のどこかにそのリフはあります。ここを開き直らないと、多分オリジナルは作れない。
「パクリ」「オマージュ」「サンプリング」何がちがうの?というような考え方を教えてくれたのはフリッパーズ・ギターである。
フリッパーズ・ギターの「ヘッド博士の世界塔」がリリースされたころ、私はまだ子供で、ビーチボーイズもヒットしていた「ココモ」ぐらいしか知らないし、ニール・ヤングも聞いたことがなかった。
GUITARHYTHMⅡから交差するように「ヘッド博士の世界塔」は何度も聴いて、十代の透明な気分にすっと入り込みどっぷり浸かっていた。
なので、はじめてペット・サウンズやアゲインを聴いた時は軽くショックだった(笑)
80年代後半にでてきたサンプラーは音楽を変え、90年代はサンプリングを用いた手法で音楽が作られることが一般化し現在に至る。
以前、学生が論文をコピペで作ってニュースで話題になっていたが、多分あまりにもひどかったんじゃないかと思うし、それを読んだ人の心を動かさなかったのだと思う。
出典元を書いていないとか、ルールを守ってなかったこともあったのかな。
「ヘッド博士の世界塔」の例えば「ドルフィン・ソング」は様々な曲の貼りあわせだが、オザケンやコーネリアスの詞、曲がオリジナルなので、
「自分で独自に執筆した文章を一字一句たりとも交えてはならない」というルールには当てはまらず、出典も明記していたわけではないが、
この増田准教授の課題のようなものを自分たちに課して制作し、サンプリングしてるんだけど、これも、いいなと他人がうなるような作品に仕上げている。
サンプリングで他人が感動するような曲を作れる人は、すでに膨大な音楽的知識とアーティストとしての力があるので、その力量は以後の二人の活躍からさらに実証されたが、サンプリングの手法を使わずとも素晴らしい音楽が作れるのである。
フリッパーズ・ギターの二人はあの時代に完全に先の時代を見ていたのだ。
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音楽が高品質のサンプリング技術によって、革命が起きた。
同じように、インターネットやスマホの普及がもたらした情報の革命に乗るスマホネイティブ世代に必要とされるスキル、
「ポケットの中にある膨大な知識からの編集力」
を磨くため増田准教授は時代の先を見通した課題を課していると思う。
情報を編集する能力が必要とされるということは、
私のように40過ぎて記憶力が弱ってきた世代には朗報ではないのか、うろ覚えで知識だけは沢山あるはず(笑)
スマホもタブレットもバシバシと使い方を覚えて負けてられない(笑)
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