布袋SOUND

布袋寅泰がSEX PISTOLSから受けたギタープレイへの影響を勝手に検証

2015-03-07

パンクは聴かず嫌いだった

以前記事にしたBOOWYの頃の布袋寅泰のギタープレイの基礎となったアルバムでBOOWYの頃までによくコピーしたアルバムで布袋さんがあげていたSEX PISTOLS『勝手にしやがれ』(NEVER MIND THE BOLLOCKS)です。

もう一度この布袋さんがよくコピーした10枚を振り返ってみます。

引用:〜気合いの入った変態を目指そう!〜月刊Player 1987年 布袋寅泰 プレイヤーコーポレーション〜

何気なく書いた順番にみえるのですが、布袋さんセレクトなのでかなり順番までこだわった選出だと思います。
ROXY MUSICのあとにSEX PISTOLSがきている、ここに着目したいと思います。

パンクは聴かず嫌いだった、ロキシー好きの少年として品が無いように思えちゃって、ただピストルズを聴いた時にああ、グラム・ロックだ、と思って。
出典:BODY 〜布袋寅泰のRadio Pleasure Box P27 1992年 布袋寅泰 ぴあ株式会社〜


布袋さんはグラムロックから音楽に入り、パンクをリアルタイムで体験しています。

布袋さんが参加していた、オートモッドのジュネさんは「1979年秋から1980年中期までロンドンに滞在」(Wikipedia参照)とのこと、すでにピストルズは解散していますが、まだパンク真っ盛りのロンドンを体験したことも意気投合した要素のひとつではないかと思います。

TREXの記事でも書いたのですがマークボラン遺作「地下室のダンディー」収録の「Celebrate Summer」はダムドのニート・ニート・ニートみたいなベースに轟音なギターアレンジで、パンクの影響を多少なりとも受けていると思われます。


というか逆にこの曲を聴いたバンドがパンクになってしまったのか?

順番的にTREXが逆に影響を受けた?と思われたりもします
ダムドのニート・ニート・ニートが収録されている1stは77年の1月発売でTREXの「地下室のダンディー」は77年の3月発売のようなので、76年〜77年にかけてはグラムとパンクがちょうど刺激を与え合っていた時期だと思います。


互いに音楽のスタイルはシンプルなロックンロールでさらにファッションやスタイルまでこだわったことが共通点で、
パンクは一部で盛り上がっていたパブロックとグラムをルーツにこれまでの価値観をぶち壊すというエネルギーが加わったムーブメントです。

そのぶち壊していく空気。誰かが壊していくのではなく、自分たちで行動し変えてもいいという時代の流れに布袋さんはのっていきます。

ひょっとしたらパンクの快感って既成のロックンロールの概念やビジネスのシステムが解体され変わっていく、それだけだったのかもしれない。
引用:BODY 〜布袋寅泰のRadio Pleasure Box P27 1992年 布袋寅泰 ぴあ株式会社〜

SEX PISTOLS 「勝手にしやがれ」

はじめて聴いた時は「何だこれは」というのが私の感想です。
私はこのジョン・ライドンのボーカルを全く受け付けきれませんでした。

なぜコレを聴いたかというと、初期BOOWYやブルーハーツが影響を受けていると何かで読んだので、ツタヤでレンタルしてきました。

ところが、その後また何かのきっかけで、アナーキーイン・ザUKをコピーすることになり、コピーするので何度も聴くことになり、
何度も聴いてるうちに「滅茶苦茶カッコイイ!」って大好きなアルバムになってしまったのです。

この最初受け付けなかったジョン・ライドンのボーカルの好きになり方は、BOOWY時代の布袋さんのコーラスに通じるものがあります。
最初は受け付けなかったのに、どんどん好きになっていくマジック(笑)

ギタープレイについて


コピーしてみると非常に弾いて気持ち良いフレーズの宝庫、
ギター一本だけで弾いても、ある程度雰囲気がでるしとてもPOP。

モジュレーションがかかったような音圧は録音で何度もギターを重ねているとプロデューサーのクリス・トーマスが話していた気がします。
コレは布袋さんがギターに常にコーラスをかけていたことにも影響があるかもしれません。

このアルバム「勝手にしやがれ」のギターはジミーペイジが弾いているなんて噂もあったようですが、殆どベースが弾けないシドの代わりにベースをギターのスティーブ・ジョーンズが弾いているようなので、スティーブ・ジョーンズかな。

ギタープレイで布袋さんへの影響というか、ほぼすべてのロックギタリストへ直接また間接的に影響を与えているので、あらためて聴いても、特筆すべき点は見つかりませんでした。

あえて書くと、とても気持ち良い音でシンプルに他のギタリストがコピーしたくなるフレーズが次々と飛び出すギターワークは布袋さんが影響を受けている点ですね。
このPOPでワイルドで快感が詰まっているギターを布袋さんはGUITARHYTHMⅠへ向かうときにイメージしたのでしょう。

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真面目な印象のジョン・ライドン


パンクは破壊的イメージばかりが先行してしまいがちですが、ジョン・ライドンのインタビューを読んで考えが変わりました。

まず、ジョン・ライドンがピストルズに加入したきっかけは「ピンクフロイドが大嫌い」と書いていたTシャツをきていたということは有名ですが、
私は、ピンクフロイドが大嫌いと主張していることに共感し加入したのかと思っていたら逆でした。

スティーブやグレンは「ピンクフロイドが大嫌い」というTシャツで主張しているジョン・ライドンに「神聖なものを汚すんじゃない」と鼻をへし折ってやろうと近づいてきたとのこと、最終的にはその皮肉なTシャツでピストルズに加入となったようですが。

参照:EYESCREAM 2008年11月号、P20 株式会社USEN

ジョン・ライドン インタビュー 抜粋

ーーーマルコムマクラーレンの貢献はなんだったんでしょう
皮肉、嫉妬、軽蔑
ーーーあなたがアナーキーイン・ザUKを書いた時、もちろんあれはあなたがかっこいい響きの言葉をただ並べたわけじゃない、それ以上のものだったんですよね?
さっきいっただろ、俺は熱心な読書家で熱心な書き手だからあの言葉は自然にでてきたんだ。
それまでずっとモチベーションを持ち続けてきたわけ。
言っとくけど、貧乏のもたらす絶大な原動力を絶対に、絶対に甘く見ないでくれよ
すべてを否定されすべての機会を奪われるんだ、政府が、学校が、運命が、お前など何も値打ちがないと言う。
お前は人間のクズだおとなしく従えってね。それはもの凄い原動力になる、いつか見返してやるって思うわけだ

引用:EYESCREAM 2008年11月号、P23 株式会社USEN

たった1枚のアルバムでロックを変えてしまうような人です。しっかりしている、そしてパンクだ。
BOOWYが売れなかったころ、ひたすらライブを繰り返していた布袋さんを思い出しました。

できるだけ遠くに力いっぱい石を投げて、全力でその石を拾いに走る、運良くその石をつかめたら、また思いっきり遠くに投げる、そして拾いにいく、その繰り返しだ
引用:布袋寅泰「幸せの女神は勇者に味方する」2013年2月25日, p.57, 幻冬舎.

お読みくださいましてありがとうございます。

最後にもう一度この布袋さんがよくコピーした10枚です。

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引用:〜気合いの入った変態を目指そう!〜月刊Player 1987年 布袋寅泰 プレイヤーコーポレーション〜

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