ギタリスト 布袋SOUND

BOOWY時代の布袋寅泰のギタープレイに迫る!XTC編

2015-01-04

XTCのブラック・シーはMORALの2年前に発売

以下の記事で書いた、布袋さんあげていたXTCの「ブラック・シー」のことを書きます。

まず簡単にXTCのことを紹介します。
1977年10月、PUNKの時代にデビューし「屈折」「ねじれた」など形容されるバンド。多数のアルバムをリリースしているが一番最初はこの「ブラック・シー」がオススメです。

ミュージシャンズミュージシャンでもあり、多くのアーティストがファンを公言しています。
すべてのアルバムで布袋さんへ影響が感じられるというか、英国ポップの代表格なので必然的にそうなってしまいます。

・アンディ・パートリッジ(ヴォーカル、ギター)
・コリン・モールディング(ヴォーカル、ベース)
⇒2006年11月脱退
・テリー・チェンバーズ(ドラムス)
⇒1982年9月脱退
・バリー・アンドリューズ(ヴォーカル、キーボード、ピアノ)
⇒1979年1月脱退
・デイヴ・グレゴリー(ギター、キーボード)
⇒1998年3月脱退

XTCのブラック・シーは1980年に発表されたアルバムで、XTCの中で名盤に上がる率がもっとも多いと思われるアルバムです。

多くの音楽評論家の方などが、まずオススメするアルバムなので、私が初めて買ったXTCのアルバムです。その時、特にBOOWYっぽいとかあまり思わなかったと記憶しています。

このアルバムを語る上でまずプロデューサーの「スティーブ・リリィ・ホワイト」の作るゲートリバーブのドラムサウンドが画期的だったと言われます。

BOOWYのドラムにもゲートリバーブがかかっていて、もうそのドラムの音は私達の世代にとっては普通であったことから、特に衝撃はなかったです。

でも時代は移り変わり、ドラムのゲートの音があまり流行らなくなった時は寂しく思いました。髪の毛でもなんでもそうですが、なくなってみるとわかるのですね。

20年ぐらい前私が購入したBOSSのマルチエフェクターにゲートリバーブが入っていて、ギターのブラッシングにゲートをかけた音があまりに気持ちよく、夜中3時間ぐらいずっとヘッドホンをかけブラッシングゲートリバーブでリズムを刻み続けたことがあります(笑)
それぐらいゲートリバーブは快感です。

この時期XTCのライブでは「ダブ」サウンド的なアプローチが見られ、アンディ・パートリッジは「Take Away」というダブアルバムもリリースしています。BOOWYのMORALにもその影響が見られます。

そのような、まずドラムサウンドから語られることの多いアルバムですが、もちろん二人のギターもギリギリポップな変態度が炸裂しています。

デイブの方は多分普通です、じゃないと、アンディ・パートリッジとあんなに長くバンドを続けられない。

よって、布袋さんへのXTCの影響はデイブグレゴリーも多少影響はあるかもしれませんが、アンディ・パートリッジに集中します。

アンディ・パートリッジからの影響

総合音楽家の和久井光司さんがアンディパートリッジのギタースタイルをとてもわかり易く表現し以下のように語っています。

コード・カッティングでバンドを引っぱっていくアンディのギターは完全にピートタウンゼントのスタイル。コードでリフを作ってその上に歌をのせていくソングライティングにもかなりの影響を受けたと思う。

タウンゼント流の不思議なコードフォーム(コードブックには載っていないオリジナルの押さえ方)とギャラガー(ロリー)のスケール(音階)を合わせてパンクの勢いをプラスしたのがアンディのギターってことに、、、なるのかな?
引用:『レコード・コレクターズ』1999年5月号, p.60、61, 株式会社ミュージックマガジン.

この文章のアンディを「布袋寅泰」に、ピートタウンゼント、ロリー・ギャラガーをそれぞれに影響を受けたアンディに変更しても何も違和感がなくピタリとハマる。

コード・カッティングでバンドを引っぱっていく布袋寅泰のギターはピートタウンゼントに影響を受けたアンディのスタイル。コードでリフを作ってその上に歌をのせていくソングライティングにもかなりの影響を受けたと思う。

ピートタウンゼントに影響を受けたアンディの不思議なコードフォーム(コードブックには載っていないオリジナルの押さえ方)とロリーギャラガーに影響を受けたアンディのスケール(音階)を合わせてそのままパンクの勢いをプラスしたのが布袋寅泰のギターってことに、、、なるのかな?

※和久井光司さん、申し訳ありません、かってに文章を組換させていただきました。

この文章になるとまるでINSTANT LOVEぐらいまでの布袋さんです。ここでのロリーギャラガーのスケールとはギターソロを主に指していると思われますが、布袋さんの場合は「低音弦から繰り出されるリフ」に置き換えるとよりしっくりきます。

そしてここでとどまらず、さらに布袋さんは進化していき、元々好きであったファンクなカッティングが組み合わさってきて3rdBO∅WY、BADFEELINGなど名曲が誕生したと考えられます。

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BOOWYの頃の布袋寅泰はXTCのパクリ?

以前このブログで紹介したライブアルバムは、初めて聴いたとき「神経質な布袋さん」が弾いている!と思ってしまいました。

もう一人のギターデイブグレゴリーは職人的で控えめなギターを弾いており、しっかりとアンディをサポートしています。

※最終的にAppleVenus1の時に「これじゃアンディのソロアルバムじゃないか」といって辞めてしまったようですが。

ブラックシーを無理やりBOOWYの曲などにこじつけようとすると、1曲め「Respectable Street」 のリフはBabyActionのイントロみたいだし、2曲め「Generals and Majors」はSENSITIVE LOVE DON'T ASK MEのフレーズみたいだし、とでてきますが、一曲一曲が何に似ていると書いてもしょうがないので、ここで少し音楽の「パクリ」について、フカジの意見を書きたいと思います。

    追記:「Generals and Majors」のイントロのフレーズに似ている曲ををBEAT EMOTIONのなかで似通った印象だったSENSITIVE LOVEとDON'T ASK MEを間違えていました、修正します、失礼いたしました。

私のパクリ論

そもそもパクリとか言い始めたらロックの歴史は終わってしまいます。

ちょっと乱暴に言えばロックとはエレキギターの歴史であり、出せる音は限られてる。どこかの誰かがカッコイイリフができた!と興奮したところで多分、もうすでに別のどこかにそのリフはあります。

ここを開き直らないと、多分オリジナルは作れない。

誰かになにかに似ているなんて言われたら、「だからなに?オレのほうがカッコイイでしょ」といえるミュージシャンにならないとファンが付かない。

私はそこへ到達することは残念ながらできなかったのですが(笑)

このへんの開き直りを私に気づかせてくれたのはフリッパーズ・ギターだったのです。

どこかのギターのフレーズを拝借どころか、サンプリングしてしまうという潔さ。


もろXTC「Wake Up」ですね


プレイヤーの布袋さんの連載で、山下久美子さんの「1986」の一曲目「REINCARNATION」がXTCの「Wake Up」そのままですね、というお便りがきていてそれに対し、布袋さんは以下のように回答しています。

XTCは大好きだし、別にパクったとかじゃなくて、センザイ的にアンディー・パートリッジ的なアプローチっつうのが体にあるんだと思います。 確かにREINCARNATIONはXTCとFIXXをイメージして作ったけどね。
 もうすぐ、REINCARNATIONのオーケストラバージョンとON SUNDAY'S 1986のダンスバージョンのカップリング12インチがでます。 アルバムと聴きくらべて楽しんで下さいね。
プレイヤー 1987年4月号 質問にお答えしますvol 2。プレイヤー・コーポレーション

なにに書いてあったかちょっと忘れてしまいましたが、大滝詠一さんがパクリだとか言われた時期があって、その時大滝詠一さんは「なにをいってるの?様々な音楽が大滝詠一という中でワインのように熟成されてでてきたんだ」というようなニュアンスで話していたと書いていました。

そういうことなんです。

このブログはあまり若いギタリストは読んでいないと思いますが、作曲やフレーズ作りで悩んだら、だらしないぐらい沢山の音楽を聴いたらいいと思いますし、聴かなければいけない。

そして自分の中で熟成されて出てくる音は、紛れもなくオリジナルであり、その曲やフレーズを他人がカッコイイと言ってくれれば、売れるかどうかは別としてミュージシャンです。

話を元にもどしまして、布袋さんがXTCから受けた影響はINSTANTLOVEぐらいまでが顕著でその後どんどんオリジナルな布袋寅泰が確立されていったということになります。

そして、あるときから布袋さんは以下のアンディ・パートリッジの言葉のようになってきているのではないでしょうか。

若い時は週かわりに出てくるバンドをいちいちチェックしていた、でも、歳をとって自分の中で自分なりの音楽が成長してくるとそういったことはいっさい必要なくなるアンディ・パートリッジ
(聞き手立川芳雄)
『レコード・コレクターズ』1999年5月号, p.29, 株式会社ミュージックマガジン.

今回XTCを取り上げましたが、和久井光司さんの文章はレコード・コレクターズのXTC特集で「XTCを知るための19枚」のなかのWHOとTasteのアルバム紹介文からの引用です。

そのアルバムとは、以下の2枚です。

アンディ・パートリッジのギターのルーツと紹介されているアルバム

※より詳細は『レコード・コレクターズ』1999年5月号を御覧ください。
ザ・フー・セル・アウト(モノ&ステレオ)

On the Boards Taste

最後までご覧くださいましてありがとうございます。

※布袋寅泰関連のエフェクター、参考にしてください
⇒BOOWY時代の布袋寅泰使用機材



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