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カート コバーンと時代を切り開いたエフェクター BOSSのディストーションを比較レビュー

カート コバーン エフェクターIMG 7217

時代を切り開いたカートコバーンとBOSSのディストーション

NIRVANAのカートコバーン特集のギターマガジン2005年5月号。見出しのコピーが「カートコバーンが破壊したギターサウンド」とある。

Guitar magazine (ギター・マガジン) 2005年 05月号

あの時代がリアルタイムの音楽好きなら、いっきに世の中が変わってしまった経験として記憶に残っているのではないだろうか。

私フカジは、当時布袋さんに影響を受けまくっていたので、ロックはイギリスだ、なんて完全に思っており、MTV、LAメタル、速弾き、カラッとしたバックコーラスなど明るすぎた当時のアメリカのロックが苦手だった。

そんなところに、ニルヴァーナの轟音が飛び込んでくる。

80年代後半に私はギターを弾き始めたが、ギター雑誌で見るプロのギタリストの機材はみな大型冷蔵庫のようなラックのシステムが積まれており、とても手が出ない憧れの機材。

そんな時代のなか、新しい時代を切り開いたカートコバーンの轟音ギターの要は、当時高校生だった私たちの足元にもある、1万円ほどで購入できるBOSSのディストーションだった。

先日BOSSのオーバードライブ、SD-1を検証してすっかり楽しくなっている私フカジは、今度は手持ちのBOSSのディストーションの音を検証してみようと思いたった。

奥田民生など多数のギタリストが使用したBOSS のオーバードライブ SD-1を検証 | ガーってやればいいんだよ Rocks in my head

所有しているBOSSのディストーションは以下の機種だ。OS−2のみ色が全くちがうので仲間はずれ的だが、しっかりとよい音のするディストーションだと思うので登場してもらう。

BOSS ディストーション

カート コバーン エフェクターIMG 7175

  • DS-1 DISTORTION 1979年 日本製
  • DS-2 TURBO DISTORTION 1989年 日本製
  • DF−2 SUPER DISTORTION & Feedbacker 1984年 日本製
  • OS−2 OVERDRIVE/DISTORTION 2004年 台湾製
  •  

カート コバーン エフェクターIMG 7180

こう並べてみると、見るだけでワクワクして、回路もたまらないものある。

カート コバーン エフェクターIMG 7182
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左からDS-1、DS-2、DF−2、OS−2、順に弾き比べてみる

OS−2 OVERDRIVE/DISTORTION

まずはいちばん新しいOS−2から。
とても使いやすい歪。ひとつ持ってると非常に便利。

このOS-2が一番好きという声もよく聞きます。

チューブスクリーマーもRATもなくてもこれ1台あればどうにかなる名機だと思う、身軽にスタジオにいきたい時は、OS-2とギターとシールドだけでいける。
カート コバーン エフェクターIMG 7213

画像にオペアンプが見えますが、オーバードライブとディストーションで別々の回路が搭載されミックスされるようになっているという、お得な1台。
音はフラットな印象でレンジが広くモダンな感じ(これも古いが他のがもっと古いからか、、)

BOSS ディストーションIMG 4692

外観がBOSS オーバードライブ系の黄色なのでオーバードライブがメインのような印象だが結構どっしりしたRATにも負けないディストーションサウンドが出力される。私はOS-2をディストーションとして使うの好きです。

使いやすさゆえに個性がないと捉えられているせいか、沢山出回っているせいか、かなり安く買える名機のひとつ。

ちなみに現ZAZEN BOYSの向井秀徳さんはナンバーガール時代にMAXONのオーバードライブ ROD880とこのOS-2をメインに使用していました。

DF−2 SUPER DISTORTION & Feedbacker

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使用ギタリスト

シェイクEリー

参照:2006年 THE BOSS BOOK2 P126〜127 シンコーミュージックエンターテイメント

1984年発売、ディストーションにフィードバックを発生させる機能がついたエフェクター。
使用しているミュージシャンの記録があまりないせいか、地味な印象だが、このフィードバック機能は、ギター1人、ベース、ドラムという最小のバンド編成で結構役にたつ。

DF−2は発生させたフィードバックを鳴らしっぱなしで他のフレーズが弾けるので、楽器がひとつ増えたようなアレンジができる。
私フカジはライブでBOSS SE−70というマルチエフェクターでフィードバックを発生させていた期間が長かったが、SE−70を購入する前はDF−2のフィードバックを使用していた。
イントロでフィードバック音とブラッシング音で組み合わせたり、ペダルトーンでソロで使用(布袋さんのサレンダーのギターソロのように、メロディーはワンノートでコード進行をカラフルに変化させていく)したりと大活躍。

このDF−2で発生させるフィードバックの音は結構グッとくる音なんですよ。

フィードバック機能に押されている印象のディストーションの回路はDS-1を発展させた回路とのこと、そしてDS-1より深く歪むチューニング。DS-1を踏襲したワイルドで太い音。

このDF−2は極初期に発売された個体とその後の個体でエフェクターの名前の表記が異なる。このことから初期型とそれ以降のDF−2の中古価格が違う。SUPER DISTORTION & Feedbackerのほうが倍ぐらいの値段になる。

価格の差は初期型かどうかの違いから

カート コバーン ディストーションIMG 7220
参考画像:2006年 THE BOSS BOOK2 P81 シンコーミュージックエンターテイメント

当初の名前はSUPER DISTORTION & Feedbackerだったが、ディマジオがSUPER DISTORTIONを商標登録していたのでSUPER Feedbacker&DISTORTIONと変更された。
「最初だけSUPER DISTORTION & Feedbackerで出荷しましたから、これは希少価値がありますよ(BOSS 高橋氏)

参考画像:2006年 THE BOSS BOOK2 P8 シンコーミュージックエンターテイメント

ムック ボスブック2 永久保存版 ボスエフェクターの総てを凝縮!! スペシャルDVD付 (シンコー・ミュージック・ムック)

DS-2 TURBO DISTORTION

BOSS ディストーションIMG 4694

使用ギタリスト

カート・コバーン、ジョンフルシアンテ、リヴァース・クオモ

参照:2006年 THE BOSS BOOK2 P126〜127 シンコーミュージックエンターテイメント

90年代、カート・コバーンにジョン・フルシアンテという強烈なギタリストに使用され、さらにウィーザーのリヴァース・クオモも使用し、世界をオルタナティブの轟音の渦に巻き込んだ名機中の名機。

今回の4台を弾き比べてみると、DS-2ははっきりと個性的な音であることがわかる。歪の粒子が細かくねっとりと粘る麻薬的な音、とにかく太い。

DS-1系統の音というターボ1でもすでに中域に個性があり、DS-1やDF-2さらにOS-2とも別物。

ターボ2ではさらにその中域がブーストされる

カート コバーン エフェクターIMG 7207

ターボ1はDS-1系統の音、まぁそのままではないけどかなり意識しましたね。ターボ2ではDS-1では絶対出せないような、もっとハイゲインで太い音ということにしようと、、。
かといってHM-2のようなヘビメタル音ではないんですよ。そのへんは結構難しかったですね。(BOSS 高橋氏)

参照:2006年 THE BOSS BOOK2 P8 シンコーミュージックエンターテイメント

このBOSS 高橋氏のインタビューに、このDS-2が時代を切り開くエフェクターになるべく運命の元、開発されたことの全てがあるように思う。
ハイゲインだけどヘビィメタルではない音。
抜けのよいドンシャリの音ではなく中域をブーストさせた仕上り、そのDS-2独自の音が時代を切り開いているまっ最中だったカート・コバーンの耳にとまる。

以下のDVDは1992年8月のライブ映像だが、足元にDS-2がセットされていることがわかる。このライブはこれまで見たNIRVANAの映像の中で最高のパフォーマンスが収録されている。見ていない方は是非。

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カート・コバーンの音はエフェクターの個性が多くを占めているので、このDS-2や次に紹介するDS-1があればかなり近づける。

真似しやすさも大ヒットの要因かと思う。でも実際にNIRVANAの曲をコピーしてみるとなかなか弾けない(笑)強靭な右手が必要(でもカートの右手はかなり脱力している)で歌いながらだと非常に難しい。

十数年前、何台かのDS-2を弾き比べて良いなと思って購入したのが、日本製のDS-2だった。

DS-1 DISTORTION

使用ギタリスト

カート・コバーン、ゲイリー・ムーア、ニール・ショーン、ジョージ・リンチ
、シェイクEリー、ポール・ギルバート、ジョン・ノーラム、スティーブ・ヴァイ、クリスインテリペリ、ダグアールドリッチ、クリスデュアーテ、デイブウェイナー、ジョンフルシアンテ、マイクスターン

参照:2006年 THE BOSS BOOK2 P126〜127 シンコーミュージックエンターテイメント

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名機OD-1の翌年、1978年発売のロングセラーモデル。
時代からハードロック系のギタリストに多く使用されたという、日本では89年にいったん生産が終了していた。

DS-1が国内で生産が終了した89年にカート・コバーンはこのDS-1をメインに使用しアルバム「ブリーチ」を完成させ、さらに91年発売の「ネバーマインド」がDS-1の轟音とともに世界を席巻した。

NIRVANAのライブの映像を見たことある方ならわかると思うが、カートの足元は非常にシンプル。

エフェクトボードなんてなく、BOSS ディストーションとエレハモのSMALL CLONEが床に直に貼り付けられてるだけだ。

ネバーマインドのレコーディングで使用されたエフェクターはBOSS DS-1とSMALL CLONEの2つだけという。

    訂正・追記

    BOSS DS-1、SMALL CLONE以外に一部でProco RAT、「Lithium」ではBIG MUFFを使用したようです。

ネヴァーマインド – Wikipedia
バンド解散後もアルバムは売れ続け、2013年現在までに全世界で4,000万枚を超えている。

世界中で4000万枚も売れたアルバムのメインで使用された歪みである、名機中の名機だ。

OS-2との比較

OS-2のほうがレンジが広いが弾き比べると若干おとなしい印象、DS-1の音がワイルドで太いことがわかる。

DF-2との比較

DF-2とは同様の回路とのことで音の傾向は似ているがDS-1のほうが太く感じる。

DS-2との比較

カート・コバーンは両方使用したが、理由はDS-1がハードに使用されていたため故障したからとのこと、日本での生産が終了したことも関係があるのかもしれない。
DS-2とは完全に別物の音、やはりDS-1が荒々しくワイルド。

グランジとBOSS ディストーション

BOSSのディストーションはブースターとしての使い方もあるが、カートコバーンはアンプはクリーン〜極軽いクランチでセットし、歪みはエフェクターという使い方だった。

グランジ、オルタナで代表的なアレンジはSmells Like Teen SpiritやRADIOHEADのCreep、スマッシング・パンプキンズのような静と激
クリーンなアレンジに突然切り込むディストーションサウンドで、心のなかの激情が表現された。

若いころの頭のなかは不安定で移り変わりは激しい。

カート・コバーンの心のなかは、Smells Like Teen Spiritのアレンジのように揺れ動き、急激な激情が交互に訪れていたのだろう。

急激な激情の表現にはオーバードライブやギターのボリュームなどでの緩やかな変化ではなく、激しく深いBOSS ディストーションの音色や変化がカート・コバーンの求めていた表現にはまった。そして世界中に拡散していった。


これまでのエフェクターについての記事はこちら

エフェクター | ガーってやればいいんだよ Rocks in my head

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最後までお読みくださいましてありがとうございます。


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