断酒

スティーヴィー・レイ・ヴォーンと断酒

2016-02-05

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断酒を決意するまで20年弱ほぼ毎晩飲んでいた中年男が550日の断酒に成功中。

断酒550日経過

アルコールの誘惑が多い年末年始、父の一周忌など無事ノンアルコールでクリアし断酒が550日となった。

引き続きなにも大きな変化はないが毎日快調だ。

友人の兄は40歳ごろに幻覚をみたり暴れるまでの状態となり入院後亡くなった。

私は20年ほど、ほぼ毎晩飲んだが深刻な状態になる前に今回酒をやめることができたようだ。

ただ、自分ではっきりと思えることは、ここで飲むとまた毎晩の飲酒に戻ってしまうということだ。

きっぱり酒を口にしない方が、「週一だけ飲む」というライフスタイルより私には楽だった、
「飲むのは週一の休み前」などという精神力の強い飲み方は私にはできない。

アルコールが毎晩流し込まれて、麻痺させられていた脳に、いまは以前情熱を注いでいた音楽が毎日流し込まれている。

オーバードライブのギターリフやエイトビートの快感、感情をえぐられるチョーキング、もし私のなかに音楽を感じる力が残っていなかったら、たぶんまたビールの缶を開けただろう。

スティーヴィー・レイ・ヴォーンとアルコール


スティーヴィー・レイ・ヴォーンとは80年代、MTVやエレポップ全盛の頃に、過去のものとされていたブルースの洪水で世界中の音楽ファンを渦にまいたギタリスト。
ストーンズに見出され、モンタレー・ポップ・フェスティバルに出演しデヴィッド・ボウイに誘われレッツ・ダンスに参加。


結果、レッツ・ダンスはジギー・スターダストを超えるヒットアルバムとなり、世界中でスティーヴィーのブルージーなフレーズが流れることになる。

一見ダサく感じるあのテキサスからそのままでてきたようなスタイルは音が素晴らしいものだからかっこ良く感じるようになってしまう音楽の力。

ギターに興味がない人が見てもたぶん度肝を抜かれるプレイをするギターヒーロー。
よっぱどギターにハマらなければ、あんな演奏はできない。そのハマることができるのが才能なのだが、スティーヴィー・レイ・ヴォーンはギターにハマるのと同じぐらい、アルコールやドラッグにハマっていた。
スティービー・レイ・ボーンのとことんまでやってしまう性分について以下は彼の友人の証言である。

ーーーースティービー・レイ・ボーンの友人ロバートブランデンバーグ(カッター)の証言
奴はなんだってとことんまでやり過ぎるんだ、バーベキューサンドイッチだって腹が満タンになるまで食うしね。でもなんと言ったって極めつけはギターさ、ギターっていうとクレイジーになっちまう。あれほどギターの腕にこだわるやつにはちょっとお目にかかったことがないね。

ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.42,シンコーミュージック社.

そして、有名になるにしたがってやってくるプレッシャーなどからアルコールやドラッグの摂取量が増えていく。
スティーヴィーのスタッフたちも止めることはできない。

1986年春ごろには、スティーヴィーはコカインを吸い浴びるようにウイスキーを飲んではギターを弾く自動人形同然になっていた。
できるだけ彼をくつろいだ気分にさせ、欲しがるものは何でも与え、時間通りに仕事にでてくるように気をつけてさえいればよかった。
彼は自分に問題があることを知っていたが、不運なことに彼の悪癖を強靭に阻止しようとする人はいなかった。
彼は6歳で酒の味を覚えた。父親の酒をこっそりなめ、家の酒棚から盗み飲み干した。
それから25年間、彼はちょっとLSDやマリワナに手を出し、それからお気に入りの毒薬(アルコール、メタアンフェタミン、そして最後にコカイン)を見つけ「家庭医学辞典」どおりの道を歩んできたのだった。

ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.263,シンコーミュージック社.

自分でも悪いことは気がついている。
しかし、アルコールをはじめ依存性物質の怖いところは、わかっているのにやめられないのだ。

スティーヴィーの大先輩ブルースギタリスト、ブルース界のドン、BBキングへ相談したこともあったようだ。

ーーーBBキングへの相談
スティーヴィーが楽屋でキングを捕まえて話したとき、彼が話したかったのはギターのことではなかった。
どうしたらちゃんとやっていけるかを聞きたかったのである。
いったい全体どうやって、BBキングは途中でぽしゃったり、麻薬でおかしくなったり死んだりしないで、常に現役でやってこれたのかを聞きたかったのだ。
「上手くプレイするためになにか別なものでハイになる必要はないんだ、音楽だけで、充分ハイになれるんだよ。
ふたりでそういうことを話した。そういう話になったのはその頃ちょっとしたことがあったからなんだ。」
とのちにキングは思慮深げに語っている

ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.240,シンコーミュージック社.

ーーー1986年春頃
ドラッグの摂取量は非常に増えていたので、もうステージの前後にやるだけではすまなくなっていた。
ツアーマネージャーたちはスティーヴィーがステージを離れずに演奏中でもドラッグを吸い込める方法を色々考えだした。
ひとつは缶ビールの口のところに粉をのせておいて、一口飲むときに吸い込むというものだったが、上唇の上に白い髭がついてすぐにそれとわかったので廃止された。
もっとも有効だったのは、一時期コカイン愛好者だったジークムント・フロイトが好んだ、液体に溶かしこむ方法だった。
ただし、フロイトは水に彼の興奮剤を溶かしただ、スティーヴィーはクラウンロイヤル(ウイスキー)を使った。

ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.263,シンコーミュージック社.

限界

スティーヴィー・レイ・ヴォーンもやはり人間。「その時」がドイツでのライブが終わったあとやってきた。

ーーー1986年9月28日
突然うねるような吐き気がスティーヴィーを襲った。彼は体を2つに折り曲げて血の混じった嘔吐物を吐いた。体を立てなおして数歩歩くとまた吐き気が襲った。、数ブロック歩く間に、これが何度も繰り返された。
〜〜中略〜〜
クリスとティムは彼をホテルに連れ帰った。
帰るとスティーヴィーは落ち着いた。誰もがこれで大丈夫と思った。
そのあと突然スティーヴィーが呼吸困難に陥った。
恐怖の顔が彼の顔に浮かんだ。体中がぶるぶる震えだして抑えられず、顔色がみるみるうちに真っ青になった。

ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.276,シンコーミュージック社.

そしてクラプトンを薬物中毒から救ったイギリスのクリニックに入り療養、その後アメリカの病院で薬物治療を行い本人の意志の強さから、アルコール、ドラッグの類をいっさい断つ。
そして今度はアルコールやドラッグを断ち健康になるということにハマる。
ハマりやすいという性分がプラスに働くとこうなってしまう。

かつては朝食にクラウンロイヤル(ウイスキー)をがぶ飲みしていた男が、いまでは健康なバランスのとれた食事をすることに真剣だった。
赤肉をやめ、アルコールを含んでいるからというので、タバスコソースさえ使うのを控えた。買い物はホールフーズ・マーケット自然食品店でするようになった。

ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.289,シンコーミュージック社.

スティーヴィー・レイ・ヴォーンの断酒のメリット

精神的、知的な部分の成長阻害への気づき

「クスリやアルコールをやっていた期間中多くの点で俺の一部は成長しなかった。情緒的なおもに精神的な部分と、それから知的な部分は」とスティーヴィーは言っている。
ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.304,シンコーミュージック社.

550日断酒した私も同様に思う。毎晩アルコールで脳を麻痺させていると新しいこと受け入れにくくなる。なぜか、記憶力が削がれるため新たなことを覚えることが億劫になる。
結果精神的な部分、知的な部分が成長しにくくなるのではないか。

私フカジも20年以上の飲酒を断酒した今感じる。

まだ20代前半の頃は飲酒しても成長していたような気がするが、20代後半から成長がかなり緩やか、30代になってからはほぼ成長していない感覚だ。

酒を飲んで楽しかったし助けられたこともあったので、良い部分もあるにはあったが、人間的成長ということではかなりのマイナスに働く。

以下はブルースギタリストとして一番スティーヴィーが恐れていたこと。

クリーンになって、それでも申し分の無いギターエースとして黒人ブルースの意味を本当にわかる数少ない白人のひとりとして、演奏を続けて行けるのだろうか。
神話によればブルースをやるためにはブルースを生きなければいけないとされていた。

結局のところブルースという言葉自体17世紀のイギリスで一般的に使われていたアルコール中毒による震えや幻覚などの症状を表す「ブルーデヴィル(青い悪魔)」からきているのだ。
アルコールやドラッグなどの錬金薬がなくてもブルースをやりたいという欲求は起きるのだろうか。彼はクリーンになったあと創造の火が消えてしまった人を何人も見ていた。
〜〜中略〜〜
彼の力強い前腕と長い骨ばった指を動かす筋肉も衰えていなかった。
太いざらついた声もそのままだった。ブルースを生んだ自堕落な酒浸りの暮らしをやめたからといってその音楽をやめなければならないということはないのだ。
ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.290,シンコーミュージック社.

私フカジが初めてスティーヴィーのプレイを見たのは85年のジャパンツアー「Live In Tokyo」のビデオだった。
すごいプレイだが、粗い部分も多く何度か見る程度で終わった。

「日本でのことは何も覚えていない、めちゃくちゃにやり過ぎてた」とのちにトミーが告白している。
ジョー・ニック パトスキー (著), ビル クロウフォード (著), Joe Nick Patoski (原著), Bill Crawford (原著), 戸根 由紀恵 (翻訳), 高城 恭子 (翻訳)(1994)「スティーヴィー・レイ・ヴォーン/魂への帰還」, p.249,シンコーミュージック社.

とメンバーが言うほどすごかったのだろう、あまりコンディションもよくなかったのかもしれないが、その後「Live at the El Mocambo」をみてぶっ飛んだ、一曲目のイントロから虜になった。


私フカジの人生でそれこそ擦り切れるまで見たライブ映像は、ボウイのCASE OF BOOWY 1〜4までと、このスティーヴィー・レイ・ヴォーンの「Live at the El Mocambo」だ。
本当に何度見ても新たな発見がある。

「Live In Tokyo」は1985年、「Live at the El Mocambo」は1983年。
「Live at the El Mocambo」はアルコールや薬物からの影響が浅かったのかもしれない、その他のライブ盤などを聴いても、明らかによい時と悪い時がある。

クリーンになったスティーヴィー・レイ・ヴォーンは再び「Live at the El Mocambo」の時のような覇気あるプレイに戻って行った。
1990年7月7日、スティーヴィーの10年半使用した愛器、印象的な塗装の剥げたストラトNo.1に木材のバッフルが落ちてきてネックにそって3つに裂けてしまった。

そして運命の1990年8月27日、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの乗ったヘリコプターが墜落する。

最後までお読みくださりありがとうございました。

今回引用した本「魂への帰還」はスティーヴィー・レイ・ヴォーンの生涯を知るには最高の一冊です。


 

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photo credit: darkness falls via photopin (license)

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